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ネクタイの HAND MADE って、何が良いのでしょうか?(生地への影響編)

ネクタイの表示で HAND MADE という表示を見たことはありますか?HAND MADE って書かれているとちょっと、高級そうに感じるけど、使う側に何かメリットがあるのかな?なんて、感じたことがありませんか?


HAND MADE (手縫い)もMachine Made (機械縫い)、どちらも縫製している工房からの視点で、HAND MADE のメリットを書いてみたいと思います。


【まとめ】

HAND MADE が良い理由は、2点あります。


生地を傷めない(機械縫いですと、必ず2工程だけなのですが、生地を傷める原因となる工程が含まれます)

ボトル型シルエットを縫える(機械縫いは、ストレート縫いは得意ですが、曲線縫いは不得意です)


あまり、流通しないような希少性が高い生地を扱う場合、または、個人の体系に合わせたシルエットのネクタイ(ボトル型ネクタイ)に仕立て上げる場合に、HAND MADE (手縫い)でないと仕立て上げることができません。HAND MADE が良いのではなく、HAND MADE でないと仕立てあげられないということですね!



今回は、HAND MADE は、生地を傷めないという、観点から、お話を進めたいと思います。


【お話】

ネクタイの縫製には、HAND MADE と Machine Made があります。Machine Made といえど、ネクタイの縫製工程は、殆どが手作業です。約10工程ほどでネクタイは仕上がるのですが、HAND MADE と Machine Made の違いはたった1つの作業の違いにより生じる2工程の差だけです。たった1つの作業が、圧倒的にネクタイの生産効率性を上げ、ネクタイの大量生産を可能にしました。その反面、生地を傷める原因になっています。


たった一つの作業の違いとは?

ネクタイは、表生地(ネクタイのデザイン性を決める大事な素材)と芯(ネクタイの機能を決める大事な素材)の二つを糸で縫製(芯と表生地を縫い付ける作業)することでできています。この芯と表生地を縫い付ける作業を機械でやるのか手でやるのか、それが、Machine Made と HAND MADE の違いです。それ以外の工程に両者の違いはありません


HAND MADE の芯と表地の縫い付け方は?



芯地を表地で包み込みます。包み込んだ表地を待ち針で仮止めします。その後、糸を使って、手術後の縫合みたいに、芯地をすくいながら表地を縫っていきます。表地を丁寧に縫っていくため、いたずらに生地を傷めません

Machine Made の芯と表地の縫い付け方は?

Machine Made のネクタイは、ネクタイ芯付け機(通称:リバー)と呼ばれる、ネクタイの芯を表地に縫い付けるための専用ミシンがあります。あの長いネクタイを縫うため、その機械の長さは、約2m近くあります。かなり大きな機械です。


ネクタイ工場は、このリバーを何台もっているかでその規模がわかります。昔は、リバー1台で1日1,500本のネクタイを縫えると言われていました。弊社には、そのリバーが5台あります。30年くらい前は、一日6000本~7000本ものネクタイを縫製していたそうです。


そのリバーと呼ばれるネクタイ芯付け機がこれです。



表地(右)と芯地(左)をセットして、スタートボタンを押します

すると・・・



あら不思議。表地と芯地がたった10秒で縫われてしまいます(手縫いだと40分くらい掛かります)。ただ、表地を良く見てみると、裏側が見えています。ですので、これをひっくり返すという作業も必要になります。ひっくり返して芯をきれいにしまうと、手縫いで縫い終わった状態と同じになります。


つまり、芯と表地を縫い付けるという一つの作業以外(Machine Made はひっくり返すという作業もあるので2工程)はMachine Made と HAND MADE は一緒の作業をすることになります(Machine Made といえどほぼ手作業ということですね)。

Machine Made が生地を傷める原因は?

Machine Made で生地を傷める瞬間の画像をお見せします。

まずは、芯付けをする機械の一工程です!



表地の中心部は、鉄製の治具で織り込まれます。具体的な内容は割愛しますが、とにかく、結構な勢いで表生地の中心へ、ガシャンと治具が降りてゆき、表地を織り込みます。この時、表生地の中心部には、筋目が入ります(後で、アイロンで直せますが・・・)。


現在、流通している生地は、流通性を最優先しているので、シルクの生地を強化するために、表面に樹脂をコーティングしています。この程度の衝撃は全く問題ありません。しかし、シルク本来の柔らかさを持った生地ではない(ポリエステルみたいに硬い)ことは確かです。


次に、生地を傷つける工程は、ひっくり返すという作業です。



芯付けした段階では、裏返っている表生地と芯が縫われた状態のネクタイを、長い棒を使ってひっくり返すという工程があります。ひっくり返った後のネクタイが右側の画像です。この工程では、ネクタイを細ながい棒でひっくり返すので、ネクタイの生地を悪戯に傷つけることになります。

あまり、流通しないような希少性が高いシルクそれは、本来もっていた肌触りの良いシルク。そんな繊細なシルクを仕立てる時には、HAND MADE でないと仕立てあげられないということですね!

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