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ネクタイの大切な機能のお話をする前に必要な、ネクタイの構造のお話です。

【テーマ】

私が思う、ネクタイの大切な機能は、5つあります。結び始めがわかること。結びやすいこと。結んだ後のシルエットが綺麗なこと。型崩れがしにくいこと。しわになりにくいこと。以上の5つです。 「これら機能の良し悪しは、何が要因なのでしょうか?」 のお話の前に、ネクタイの機能に大切なネクタイの構造について、お話します。

【まとめ】 ネクタイは、表地と芯地とそれらを紡ぐ糸で出来ています。ネクタイの構造はシンプルです。芯という体に、表地という服を着ているような感じです。表地はデザイン性を決めますし、素材によっては、結びやすさにもかかわってきます。ですので、ネクタイの機能性にも大切な要素です。しかし、目に見えていない芯も表地と同様、もしかしたら、それ以上に、ネクタイの機能には大切な要素です。ネクタイを分解した画像があるのでご覧ください

【ネクタイの機能に大切な構造について】 ①表地 ②芯地 ③糸

【解説】 ①表地について ・生地の織り目に対して、斜め(バイアス)に裁断されている ・3枚の生地(大剣、中ハギ、小剣)が、はがれてできている


・表地の端の処理には、2つの方法(裏付け、三巻)がある


ネクタイの表地は、生地に対して、斜め(バイアス)に裁断されます。バイアスに裁断されるのは、結ぶ際に、ネクタイが伸びるようにするためです。ネクタイが結びやすいのは、結ぶ際に、縦方向に伸びるからなのです。縦方向に伸びないと締めにくくなります(ノット部分の締りが悪くなります)。1925年以前のネクタイは、バイアス裁断でなかったので、結びずらかったそうです(今でも、縦横裁断のネクタイは結びずらいです)。なので、ネクタイの機能に影響をもたらします

ネクタイが、3枚剥ぎなのにも理由があります。1つは、ネクタイを1本作るのに必要な生地の量が少なくて済むという点です。2つ目は、3枚剥ぎの方が、ネクタイが捻じれにくいというのが挙げられます。生地が3つに分けられているので、1枚の生地よりも、捻じれが分散すると考えると理解しやすいでしょうか?こちらもネクタイの機能に影響をもたらします

表地の端の処理には、裏地を用いる場合と、三巻して処理する場合があります。あまり、ネクタイの機能として影響はありません。

②芯地について ・ウール芯(羊の毛)は柔らかいが、復元力がある ・ウール芯は保湿能力がある ・ネクタイのシルエットは芯地が決める 芯地は、表地という衣をまとっているので、外からは、全く見えません。ネクタイの芯地をみたことがある方は、ほとんどいないのではないでしょうか?





左画像の上の芯が、分解して取り出した芯地で、化学繊維が含まれた芯地です。下が、100%ウールの芯地です。現在のネクタイ、圧倒的に多いのが化学繊維が多く含まれた芯地で、色が白いです。ウール芯は黄色味がかっています。

化繊は、固くしかも吸水性がありません。硬いので、ディンプルも作りにくいし、しわも戻りにくいです。しかも、吸水性もないので、汗も吸わずに表地がだめになりやすいです。しかし、現在、流通しているネクタイで100%ウール芯を使用しているのは稀です。皆さんも持っているネクタイを覗いてみてください。


ネクタイのシルエットは、芯地が決めます



これらは、大剣幅が、8.5cm の芯の型です。同じ大剣幅なのにこんなにシルエットが違うものがたくさんあります。大剣幅が、8cm でも9cm でも同じように沢山のシルエットの型があります。ネクタイのシルエットは、結びやすいこと、結んだ後のシルエットが綺麗なこと、型崩れがしにくいこと、たくさんの機能に影響を及ぼします。 ネクタイの機能において、芯は、かなり重要な要素になります。

③糸について


ネクタイの大剣・小剣をめくってみると、こんな糸があることを知っていますか?たるみ糸とかポアンタレと呼ばれています。先ほど、ネクタイは、結ぶ際に、縦方向に伸びることをお伝えしました。伸びても大丈夫なように、たるみ糸がついています。伸びたネクタイを元に戻すには、ネクタイをほどいた後に、横に引っ張ってあげると戻ります


こんな感じで、横方向に引っ張りながら、徐々に大剣にむかっていき、また、横方向に引っ張りにひっぱりながら、小剣にむかっていく、なんてことをすると、伸びたネクタイは、元の長さに戻ります。たるみ糸があるネクタイは、伸縮性があり、良いと言われています。 糸は、耐久性がある化繊(ポリエステル)が良いと言われています。

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